月見酒(MINT's World)

ギガンデスとは何だったのか?

本編ライナーノーツにも書きましたが、ここまで web 上に資料が無い程マイナーなので、ほとんど誰も分からないのではないでしょうか(他の収録曲を見ても、あえてマイナーな物で揃えた様です)。 丸いボールの様な自機の 4辺にアイテムで好みの武器を取り付けて、ポジション回転ボタンで向きを変えながら四方八方から襲ってくる敵機に対処するゲーム性なのですが、 そのせいか 1面からでも平気で上下左右から撃ってくるため、ちゃんとパワーアップしないとあっさりゲームオーバーにされる理不尽調整で、効率の良い手法を構築するまでが大変でした。 高齢のシューターで覚えている人は意外な程居るので出回りはそう悪くなかったはずですが、1990年発売で雰囲気の似たゲームは多く在ったので、記憶が薄れ易いのかもしれません。

しかし凝って作られていて、多分特撮映画からインスピレーションを受けたんだろうと思われる演出や、野崎貴朗氏とアキライノウエ氏によるバリエーションの広い BGM 等、ゲーム本編以外にも見所は少なくありません。 今回は指定が 4面 BGM だったのでこれを弄りましたが、他にも 5面ボスと 6面は私好みです。 アレンジに当たっては、クロマチック音階を使ってくる所に同じ匂いを感じるものの、あまり自分では使わないコード進行と曲調にガッチリ絡むパート構成なので、大掛かりな仕掛けは避ける事にしました。

feat. SC-55MkⅡ

「曲調でネタに走らないとすると何がネタになるだろう」と 1990年代を振り返って何か在ったかを考えると、「そうだ、自分が GS 音源と戦っていた」と思い出しました。 GS 音源のみでの曲作成はしばらく御無沙汰で、現在のセオリーを盛り込んだ使い込みをすると何ができあがるのか自分でも興味が沸いてきました。

いかにもな GS 音源臭さを避け、しかし GS 音源だなとも思わせ、それでいて昔は作られなかった音を出す。 そう考えてこの曲調の中に組み上げた構成は以下の様な物でした。

  • 生演奏では在り得ないスラップベースだけで構成された、典型的な GS 音源ベース。
  • LFO を駆使してロータリースピーカーを再現したオルガン。
  • 当時プレートリバーブを好んで使っていたので、それを継承。パラメーターは大きく調整し直し。
  • 近年の自分の流行とアナログシンセサイザーのセオリーに従って、ポルタメントを生かした音色作り。(処理が重いので有効活用されなかった)
  • コーラスはフランジャーとして使い、空間表現ではなく積極的な音作りに利用する。パラメーターは偶然性を狙う傾向。
  • バスドラムはドラムキットからではなく一から起こす。これは当時もポツポツ使われていた。
  • いかにも無理矢理作りました的な音色を一つ入れる(FM 音源の音を別方式で再現するのは困難ですが)。

「意識して仕掛けました」と言えるポイントはこんな所です。 後は当時、もしくは今でも基本とされるか物かトリビア的なテクニックばかりです。 元々手足の様に使っていた音源であり、楽しく作業して概ね狙った物ができあがりました。

謎のの手

ところで、曲中に時折マシンボイスの様な音が入っているのに気付く方も居られるかと思います。

「ハッ!」は笑い声の音色から作った確かに自分で入れた音ですが、問題はその後のセンターで「ぅぇ」とか「ぃぇ」とか「ぉぁぃぇ」とかドライ音で言っている部分です。 これは全く偶然の産物で、自分はマスタリング中に「あれ?」と気付きました。 マスタリング前の MIDI データからも聞こえます。 ベースの特定のハンマリング・オン部分に同期しており、どうもそのピッチ変化と関係して偶然発生している様です。

普通に曲に溶け込んでおり、久々に全力で使われた「SC-55MkⅡ」が、奮起して間の手を入れてくれたのだろうかと思っています。

ジーゴークーグールーマー!!!!

コナミが 1990年代に「MIDI POWER」と云う GS 音源に焦点を当てた CD のシリーズを出していましたが、音源に「SC-55」を使った物の中で、グラディウスⅢと悪魔城ドラキュラを収録した「MIDI POWER Ver.3」がずば抜けて出来が良く、より手馴れた GS 音源の使い手である程アレンジャーの化け物っぷりが解って来ます。 音色の選択、パート構成、アレンジのアイデア等、全方位に渡って隙が在りません。

他のシリーズの中でこれだけが突出している所を見ると、使い手の差が如実に出ていると見て正解です。 「Thrashard in The Cave」辺りは、GS 音源のエレキギターが小手先の小細工を使って打ち込んだ程度ではスカスカのペラペラである事を知っていると(今でもコストカットされたゲーム音楽では珍しくありませんが)、顎が外れそうになります。

「MIDI POWER」シリーズは、以降 Roland「SC-88」に音源をパワーアップさせたり、面子を入れ替えてフロッピーデータを付ける上位シリーズの「MIDI POWER Pro」を展開しますが、この Pro 版では "2" がお薦めです。 全体的には「あぁ、超出来の良い GS 音源打ち込みだよな」と思うのですが、「FIRE TRIPPER」のスパニッシュギターだけは異常です。 何ですかね、これは。これも顎外れます。

今後

GS 音源を使い倒すネタは、ホームグラウンドになるので作り易くは有るのですが、ウケの面でどうかと云う問題は在ります。 FM 音源や PSG 音源の様な誰でも判る程の特徴が無く、むしろ GS 音源臭過ぎると安っぽい事と同義になり、高度に使いこなすと今度は普通の曲との差が縮まるだけになって、何がネタなのか解り辛くなってしまいます。

それが今日に直系の子孫やメジャーな人材をほとんど生まなかった理由であり袋小路となる宿命を背負っていた証左でもあるのですが、「自分だけがおもしろいネタとして懐古的にたまーに行うのもいいのかな」とは思います。 またやるかもしれません。

つぶやき

「ホットドッグストーム」1面は反則ッスよ、や、マジで。

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2007年12月31日
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