クラブミュージック講座 section_04
・トランス(trance)
言葉の通り恍惚感を催す様な音楽、
そのための様々な仕掛けを盛り込んだテクノの事です。
恍惚感と言っても
盛り上がっていく上昇してそのうちキレそうになる「トランス」と
盛り下がって精神的にもリラックスするどころか気落ちさえしていく「エクスタシー」の
(両方ともトランスで片付けられる事もありますが、厳密に分けるとこうなります。)
2種類がありますが、
21世紀に入った辺りから特に擡頭してきたダッチトランスやエピックトランスを除いては
基本的に前者を重要視した物になっています。
トランステクノには一定のパターンもありまして、
ループが基調の楽曲構成(ミニマルミュージック)、
大概裏打ちを強調した四分打ちが主体でリズムそのものは単調、
フィルターを多用したウネウネしたシンセ音を多用、
もしくは細かいリズムで一定音を繰り返すシンセリフが延々流れる(ダッチ系の定番)
フィルイン部分に向かってドラムロールする演出等を使用(やや古典的)、
和音はほとんど循環コード進行か不安定な2コードの繰り返しで構成される、
と言った物でトランスを誘う様になっています。
発祥の詳しい所は不明ですが(明確には90年代半ば手前ぐらいから現れている)、
その一種危ない音楽性から薬物との結びつきもなきにしもあらず。
元々はアンダーグラウンドな場所から出てきたテクノの一種です。
そこから徐々にいろんな所で流行し始め、'00頃から遂には歌物も出現し、
'02中盤からちらほら日本でもちらほら出てくる様になっています。
この辺りになるともはや、うねった音か速いシンセリフが出てきていればトランス
と言える状態にさえなっていて、
ちょっとモヤっとした感じでそれっぽかったら何でもありの様です。
・ミニマル(minimal)
そもそも数小節の短いフレーズを繰り返しループする事で構築された音楽を
ミニマルミュージックと呼んでいて、
これはロックやアンサンブル、オーケストラ等で使用される
近代の音楽構成の一つなのですが、
これを取り入れたのが発祥かどうかは不明なものの
上記の様なループ主体のテクノの事もこう呼ばれます。
特にテクノ系では打ち込みで簡単にループを構築できるお陰で、
基本的に歌を伴わないテクノやダンスミュージックの大方は
ミニマルミュージックと呼べる物ではあるのですが、
限定的にミニマルテクノや単にミニマルと呼んだ場合は
四分打ち主体のリズムを基調とした非常にストイックな雰囲気のテクノ
を指します。
極端な物(ハードミニマル等と呼ばれる事もあります)になると
リズムとベースだけどころか、リズムだけという物もあり、
ループの繰り返し回数も8回や16回など当たり前で、
32回、48回、64回等のロングループもあり半端ではありません。
ストイックさも重要な要素であるために
基本的にはあまり派手な演出は出てこないのが普通です。
以上の様にあまりにも普通のポップス等とは掛け離れているどころか
テクノの中でも難解なジャンルの一翼を担うため、
楽しんで聞くにはかなりの素質と免疫力が必要です。
現代テクノの最もそれらしい姿の一つなんですけどね。
ちなみにドラムを強調したこういうテクノの発想のルーツは
民族音楽、特に東南アジアやアフリカ等の打楽器を主体とした儀式の音楽
にあると言われ、
実際の雰囲気も楽曲構成や理論上も、トランスを促す効果がある面も、
確かに好く似ています。
そのままそういう民族音楽の楽器を音に取り入れた物も多数有ります。
・ニューエナジー(nu-nrg)
この言葉、ユーロビートや単に新しい音楽の事を指したり
いろんな言葉として現れるのですが、
ここではトランスの派生ジャンルの一つとして紹介します。
派生ジャンルというよりは90年代中盤からの正当進化のトランスを指す言葉で、
トランスの項目で紹介した定番のウニョウニョ音を大量に使用、
やや早めで派手な16ビートで突っ走る、
お約束のドラムロールも出現、
と、ニューというワリには一種保守的な古臭さを持っています。
しかしこのパターンのおもしろさはハマっていると麻薬の様に抜け出せないため、
どれだけ様々に派生しても求められ続けているのか
今でもこうして残り続けています。
・ゴアトランス(goa trance)
ミニマルとは一種双璧を成しているトランス系の重要な柱の一本で、
名前の通りインド西部のゴア地方を発祥とし、
南アジアから西アジアを爆心地に世界へと広がったジャンルです。
この特徴は、
楽曲が主にアラビアンな音階で構成されている、
トランスの中でも特にうねうねした音が強調されている事が多い、
という点。
元々宗教活動が盛んで瞑想などにも長く深い歴史を持つ地区ですから、
曲はまさにサイケデリックで強烈です。
流行は90年代後半で既に下火になっているのですが、
ニューエナジー同様離れられない固定ファンを持つため、
滅びる事無く生き続けています。
またこのジャンルでは例外的に、
いかにもトランスの曲だけではなく
この地方の音楽を取り入れたアンビエントも仲間として含まれます。
・サイケデリックトランス(psychedelic trance)
ゴアトランスの派生で、
ほとんど差らしい差はありません。強いて言うなら
よりフィルター移動が過激でうねうね感が強く派手
と云う事ぐらいで、
あとは南〜西アジア以外で作られたゴアトランス系の曲
と云う事ぐらいになってしまいます。
・エピックトランス(epic trance)
発祥は分かりませんが、トランスの一派生です。
特徴としてはエピックと頭に付く事から想像できる様に
率直に言えばナキ系トランスです。
あまり派手にうねうねしない(レゾナンスが上がらずフィルター開閉するぐらい)
速いリズムで繰り返されるシンセリフが入る事が多い、
他のトランスよりコード感が強い(ほとんど下方進行主体)、
空間系のエフェクトが強めにかかっている、
というジャンルです。
全体的に聞きやすいために一般の音楽シーンに降りてくる事があり、
歌物が出現している所もエピックハウスと似ています。
こうして歌物になった物には、
もはやエピックハウスとエピックトランスの差はほとんど良く分かりません。
前からあった曲調ですが明確は流行は2000年以降で、
日本では癒し系ブームに便乗して
歌謡曲に殴り込みとまでは行っていませんがそこそこ出回っています。
DanceManiaにThe Best of World Tranceシリーズが組まれて来ている辺り、
メジャー化の日は遠くないでしょう。
・ダッチトランス(dutch trance)
エピックトランスと同義であると解釈しています。
ダッチトランスの方が少しアッパーでピアノ音の要素が少ない
とも言えなくもありませんが、ほとんど判りません。
・ダブトランス(dub trance)
まさにそのままダブ要素の強いトランスだからダブトランスです。
空間系エフェクトが強く全体的に大人しい曲調で、
ループ回数もほとんどの曲でかなり多めに取られています。
アンビエントテクノ、エピックトランス、ディープハウスの境目の様な曲とも言えますが、
まあ明確な区別は無いも同然ですね。
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