搭載しているエンジンは、ロングセラーの "VT エンジン"。 250cc としてはしっかりした低回転トルクがあり、使い勝手に優れています。 一方、元々 VT エンジンとは、2ストロークエンジンを嫌ったホンダがこれに対抗できる 4ストロークエンジンを目指して開発した物なので、回せば回す程隠された過激な性格が表に出てきます。 低回転トルク重視にリセッティングされてはいるものの高速回転域の伸びも健在で、 オーバーレブ特性が良過ぎるため、ブラックゾーンまで回せてしまう個体は珍しくありません。 レブリミッターはブラックゾーンの所に付いています。
この万能性で何をしてもそれなりに対応してくれる所が、常に側に置いておけるバイクと云うコンセプトを持ったゼルビスらしさを作り上げている要素の一つでしょう。
得意としているのは 4,500 〜 6,000 rpm を利用した街中での安定した巡航です。 最も扱い易い領域にハマり込み、とても楽な気持ちで走れるはずです。 最高出力を 36PS に絞っているため、40PS 以上出ていた兄弟車では可能だったモアパワーの要求には答えられない所が有りますが、 エンジン側からは決して急かさず用途を制限して来ないので、乗り手の性格と腕前でどうにでもなる範囲が広いのが良い所です。 6,000 〜 7,000 rpm で一休みがありますが、7,500 〜 8500 rpm から本領発揮。 9,000 rpm からのレーシーなエンジン音への変化と最後の一伸びは、紛れも無い VT の血統です。
ちなみに、ノーマル状態での最高速度理論値は 170km/h 強。 よって 180km/h のスピードリミッターは付いていません。 メーター読みで 160km/h を越えられれば、快調な固体だと言えます。 回転と速度の比率は、4速でおよそ(回転速度 ÷ 100)km/h。 1段階シフトダウンする毎に −10km/h、 シフトアップする毎に +10km/h です。
一方、耐久性に優れているとの評判を受ける事が多い VTエンジンですが、ゼルビスにも当てはまっています。 このエンジンの信頼性の高さを示す逸話を、交通関係コラムコラム内に書きました。 他のバイクでもこまめなメンテナンスを行って大切に乗れば大抵は長持ちする物ですが、小トラブルの頻度を考えるとやはりこのエンジンは何か違う様な気がします。
フロントカウルの左右に 25V HIGH INERTIA PORT
と書かれたステッカーがあります。
25V
はおそらく 250cc の V型エンジンを指すと思われますが、
その後ろの HIGH INERTIA PORT
とは、VT エンジンに搭載されている "ハイパー・イナーシャポート機構" を差しています。
これは、最高馬力を稼ぐために吸気ポート全体の直径を増やしながら、中央で二つに仕切る事で 1区劃当たりの面積を小さくして混合気を整流し、低速で流量が少ない時にも効率の良い吸気を可能にする仕組み。
全回転域での扱い易さの向上に貢献しています。
なお、綴りが "HIGH" なのに "ハイパー" と呼ばれているのは、ゼルビス関係の公式資料がそうなっているためです。 他のシリーズでは "ハイ・イナーシャポート" となっています。 ポートの切り方が違うのかもしれませんが、何故なのか本当の所は不明です。