2001年末にコンセプトモデルとして披露された「B-KING」が、そのまま出てきちゃった様な 1台。 「B-KING」は「GSX1300R 隼」のエンジンを使ったネイキッドと言う設定でしたし、その他細部の違いはありますが、「GSR」も基本デザインはほぼ同じ。 「B-KING」と比べると痩せ細って見えてしまうのはマイナスですが、一見とんでもない前衛的デザインの様でも、何となく収まりが好く見える所が、いつもやり過ぎ感が漂ってしまうホンダや時々発作を起こすカワサキとは違う所でしょうか…。
最初に試乗したのは 2006年春ですが、その年の秋になって B-KING の発売が確定と云う話になり、このモデルの位置付けはスズキのスタイル重視ネイキッドモデルシリーズとなっています。 (追記(2008年7月):B-KING は、2008年に実際に発売されました。)
「GSX-R600」譲りのエンジンは驚異的な程の滑らかさを誇り、スナッピングした時のタコメーターの超反応はそのまま。 おそらく高速回転で威力を発揮するであろう代わりにやり過ぎな程低速回転トルクに乏しい出力特性ですが、それなりに粘ってはくれます。 ただ、低速からの再加速でのみインジェクションの反応が今一つで、多少出遅れてからドン突く感触有り。 まあ、ガンガン回して遊びなさいと云う開発者からのメッセージなのでしょう。 ブレーキの能力も標準状態でかなり高く、掛け過ぎ注意な程です。
また、意外な肩透かしを食らうのが乗り味。 まず、ハンドリングにトゲがありません。 ハンドルで曲がれるので、人によってはセルフステアが強いと感じるかも。 さらに、オーバーな太さのタイヤを履いているにも関わらず、それを感じさせない様な自然な倒れ方と軽快感は、太いタイヤを苦手とする自分には意外性大。 実バンク角が浅くイニシャルの荷重が少し掛かっている分、「CB400 SUPER FOUR HYPER VTEC SpecⅢ」の様なふとした瞬間の神経質さは感じられません。
サスペンションセッティングは思っていたよりは柔らかい印象で、姿勢も至って普通であり、あらゆる面で乗り易さが光ります。 しかも高速回転でも意外と大人しい吼え方で、走行音は静か。 ハイマウントマフラーなので真後ろには突き抜けますが、それでも控えめです。
実は、次のスタンダードバイクになるべく作られたのかもしれません。 族車的イメージからは遠く離れていますし、パニアケース等を付けてヨーロッパ風にスマートに乗るバイクでしょうか。 そう言う意味では B-KING とはコンセプト的に少し離れた感じです。
なお、センタースタンドはどう転んでも取り付けられない様です。
2007年から、ビキニカウル仕様の「GSR600S」を追加されました。 このビキニカウルは、「ラージカウル」としてオプション販売もされており、S モデルはこれのセット販売モデルの様な形です。 日本国内に逆輸入で出回る物は、ノンカウル版 ABS 仕様の物が主体となる模様です。
大胆にもこのスタイルで国内仕様 中型免許向けも作ってしまいました。 本気で日本のネイキッドの方向性を変えようとしているのかもしれません。 諸元を見ると分かる様に、おそらくかなりのパーツは 600cc 版と共通。 エンジンも外殻や腰下は共通で、ボアとファイナルギアが違うだけの様です。 乾燥重量が逆転していますが、マフラーの関係でしょうか?
よって評価ポイントはエンジンの違いだけとなりますが、600cc を知っている状態で乗ったのもあって、かなり物足りない印象。 インジェクションの反応はこちらの方がスムーズですが、あの狂った様なフケは無く、国内向けとしての低速の持ち上げも限界が見える感じで、 これではホンダの「CB400SF」と比較してモッサリしているとか思われてしまいそうです。 「優しい大人のバイク」とか言ってあげて欲しい所ですけど。 現在の 400cc は自主規制でかなり首締めされているので、いた仕方ない所はあるでしょう。
アンダーなエンジンを積んでいる事で構造に余裕が有る分、全体的に安定感は有るのですが、見た目はジェントルな感じではなく使い勝手のための装備も最低限である以上、アンバランスな印象は否めません。 買えるのであれば 600cc の方が御奨めです。 「ZZ-R400」と「ZZ-R600」もそんな感じでしたね。
2007年から消える事になった国内仕様馬力自主規制ですが、「やはり」と言うべきかスズキが真っ先に中型で 53ps の壁を破ってきました。 馬力は 15% 増しの 61ps で、出力曲線を見ても高回転型に変わっています。 2009年に開催された ABS 体験試乗会で、乗ってみました。
行った会場が自動車教習所だったので高回転を発揮する機会が無く、残念ながら 8,000rpm 以上の本気は不明。 しかし、スペック上 8ps 違えばその領域の伸びはかなり違うはずです。 心配された低回転トルクの低下はさほど感じられず(「元々が薄かった…」と云うのも尤もですが)、調整は上々ではないかと思います。
3年ぶりに乗っても、ハンドリングはやはり自分には「自然だ」と感じられました。 車体なりの乗り方で行けるのは、とてもありがたい事です。
なお、この時の名目は ABS 体験試乗会だった訳で、自分も ABS には強く興味を持っていた事から、その点についてもよく見てきましたが、これについては他のページにまとめてありますので、そちらを御覧ください。
| GSR600(逆輸入 2006年式) | GSR400(国内仕様 2006年式) | GSR400 ABS(国内仕様 2009年式) | |
|---|---|---|---|
| 型式 | BC-GK7DA | ? | EBL-GK7EA |
| 全長 | 2,090mm | ||
| 全幅 | 795mm | ||
| 全高 | 1,075mm | ||
| 軸距 | 1,440mm | 1,435mm | |
| 最低地上高 | 130mm | ||
| シート高 | 785mm | 770mm | 785mm |
| 乾燥重量 | 183kg | 185kg | ? |
| 車輛重量 | ? | ? | 215kg |
| 乗員定員 | 2人 | ||
| 燃料消費効率 | ? | 35.5km/ℓ(60km/h 定地走行テスト値) | 32.0km/ℓ(60km/h 定地走行テスト値) |
| 最小回転半径 | ? | 2.9m | |
| エンジン型式 | ? | K719 | |
| エンジン種類 | 水冷4サイクルDOHC4バルブ並列4気筒 | ||
| 総排気量 | 599.4cc | 398cc | |
| 内径×行程 | 67.0mm × 42.5mm | 54.6mm × 42.5mm | |
| 圧縮比 | 12.5 | 12.2 | |
| 最大出力 | 98ps(72kW)/ 12,000rpm | 53ps(39.0kW)/ 11,000rpm | 61ps(45kW)/ 12,000rpm |
| 最大トルク | ? | 3.8kgf·m(37N·m)/ 9,000rpm | 4.0kgf·m(39N·m)/ 10,000rpm |
| 燃料供給装置形式 | 電子制御燃料噴射式 | ||
| 始動方式 | セルフ式 | ||
| 点火装置方式 | フルトランジスタ式バッテリー点火 | ||
| 潤滑油容量 | 3.9ℓ | ||
| 燃料タンク容量 | 16.5ℓ | 16.0ℓ | |
| クラッチ形式 | 湿式多板コイルスプリング | ||
| 変速機形式 | 常時噛合式 6段リターン | ||
| 変速比 1速 | 2.785 | ||
| 変速比 2速 | 2.000 | ||
| 変速比 3速 | 1.600 | ||
| 変速比 4速 | 1.363 | ||
| 変速比 5速 | 1.208 | ||
| 変速比 6速 | 1.086 | ||
| 減速比(一次 / 二次) | 1.926 / 3.000 | 1.926 / 3.357 | |
| スプロケット | 前 16T / 後 48T | ? | |
| 懸架方式(前) | テレスコピック式(正立)(⌀43mm) | テレスコピック式(正立・インナーチューブ⌀43mm・ホイールトラベル 130mm) | |
| キャスター角 | 25°50′ | 25°15′ | |
| トレール量 | 105mm | 104mm | |
| ハンドル切れ角 | 左右 33° | ||
| 懸架方式(後) | スイングアーム式・ショックアブソーバ 1本(リンク式) | スイングアーム式・ショックアブソーバ 1本(リンク式、ホイールトラベル 134mm) | |
| タイヤ(前) | 120 / 70ZR17(58W) | ||
| タイヤ(後) | 180 / 55ZR17(73W) | ||
| ブレーキ形式(前) | 油圧式 W ディスク(⌀310mm) | ||
| ブレーキ形式(後) | 油圧式 S ディスク(⌀240mm) | ||
| フレーム形式 | ダイヤモンドトラスト(アルミダイキャストツインスパー) | ||
| メーカー希望小売価格 | 934,500円 | 787,500円 | 861,000円 |
| 発売日 | 2006年3月1日 | 2006年5月30日 | |