「ディバージョン」とは、ヤマハのツーリング志向や乗り易さを重視した車種に付けられているペットネームです。 ホンダで云う "ボルドール" や "インテグラ" の様な物でしょうか。
大きく分けて
の 2種類が存在します。 両者に系譜上の接点はほぼ有りませんが、コンセプトは共通していると言っても差し支えないでしょう。1991年頃に登場した、空冷 4気筒を搭載し、ハーフカウルを纏った現代的ヨーロピアンタイプバイクの代表機種です。 XJ400S / XJ600S / XJ900S と 3 種類の排気量バリエーションが存在しました。 一般にはどうでもいい様な話ですが、カワサキ「EX-4」と並ぶホンダ「ゼルビス」の超そっくりさんであり、そのため、ゼルビス乗りが少し意識する事の有るバイクです。
と、外見も仕様に加えて境遇まで似ていて、親近感を隠せません。
明確に違う点は、
などの辺り。 走っている状態で車種を見分けるのは結構大変ですが、全体の丸みと尻の下がり具合、2本の出しマフラーがポイントでしょうか。 4気筒なので排気音も違いますね。
日本では、「風、旅、美」と云うキャッチフレーズと共に 400cc 版だけが販売されました。 基本的にゼルビスと同じ流し運転を得意とするスポーツツアラーで、「カウルの整流能力がかなり優れていた」との話を聞いています。 キャッチフレーズに "風" を謳っている以上、その辺りには力が入っているのでしょう。 乗り心地が良さそうです。
しかし、他例に漏れず、レーサーレプリカブームの中で鳴かず飛ばずのうちにあっけなく消滅しました。 2000年代後半では、通好みの激安中古 400cc 車輛として時々名前を聞く程度にまでなっていました。
一方、一定の地位を獲得したいた欧州では、600cc と 900cc の 2タイプが2005年頃まで販売されていました。
旧ディバージョンが終熄に向かう中、「FZ6 Fazer」「FZ1 Fazer」が売れ筋となっていた当クラスですが、 2009年2月から日常で使える安価でシンプルかつスタンダードなモデルとして開発された車輛が、"新ディバージョン" こと「XJ6 Diversion」です。
一往「FZ6」系からのエンジン流用車種ですが、そのエンジンの基本的な部分以外はフレームから何からほとんど全てが違う造りになっています。 目に見える範囲で共通化されている部分は、エンジンのケースとメーターパネル位しか有りません。
試乗した感想は、狙い通りまさに普通のバイク。細かくは以下、
などなど…。
カウル無しでよりシンプルな「XJ6N」と、フルカウルの「XJ6 Diversion F」も用意されており、前者は発売当初から、後者は 2010年から日本でも流通しています。 また、2010年モデルからは 3段階油圧制御式 ABS を装備したモデルが主流になっています。
日本では、性格がほとんど同じで上位互換車種と呼べる「FZ1 Fazer」の国内仕様が景気良く売れているので、どうしても注目度が下がってしまいそうですが、ABS モデルでも 80万円に片足が出ている程度の非常に挑戦的な車体価格となっており、乗り出し価格が「CB400 SUPER BOL D'OR」を下回ってしまう事も有るため、大型免許持ちで現実的な車輛が安めで欲しい人には間違いなくうってつけです。 どうしても設計には安っぽさが見られ、前述の通り若干ちぐはぐなデザインにもなっており、似た時期に登場して驚く程スッキリまとめてきた aprilia「SL 750 SHIVER(シバー)」のカウル付きモデルなどと比べると、どこか一味足りない感じは有りますが…。
2010年から「FZ6」シリーズが「FZ8 / Fazer8」にステップアップしたので、この車種が欧州向け入門・ミドルクラスベーシック車輛の役割を担って行く様です。
| XJ400S(国内仕様 年式不明) | XJ600S(逆輸入 2001年式) | XJ900S(逆輸入 2001年式) | XJ6 Diversion(南アフリカ 2009年式) | XJ6(南アフリカ 2009年式) | XJ6 Diversion F(南アフリカ 2010年式) | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 全長 | 2,090mm | 2,170mm | 2,230mm | 2,120mm | |||
| 全幅 | 750mm | 735mm | 750mm | 770mm | |||
| 全高 | 1,175mm | 1,205mm | 1,300mm | 1,210mm | 1,085mm | 1,185mm | |
| 軸距 | 1,445mm | 1,445mm | 1,505mm | 1,440mm | |||
| 最低地上高 | ? | 150mm | 130mm | 140mm | ? | ||
| シート高 | 770mm | 770mm | 795mm | 785mm | |||
| 乾燥重量 | 178kg | 198kg | 239kg | ? | ? | ||
| 車輛重量 | ? | ? | ? | 211kg(ABS 付 216kg) | 205kg(ABS 付 210kg) | 215kg(ABS 付 220kg) | |
| 乗員定員 | 2人 | ||||||
| エンジン種類 | 空冷4サイクルDOHC2バルブ並列4気筒 | 空冷4サイクルDOHC4バルブ並列4気筒 | 水冷4サイクルDOHC4バルブ並列4気筒 | ||||
| 総排気量 | 398cc | 598cc | 892cc | 600cc | |||
| 内径×行程 | ? | 58.5mm × 55.7mm | 68.5mm × 60.5mm | 65.5mm × 44.5mm | |||
| 圧縮比 | ? | 10.0 | ? | 12.2 | |||
| 最大出力 | 42ps(30.9kW)/ 10,000rpm | 60.9ps(44.8kW)/ 8,500rpm | 89.5ps(65.8kW)/ 8,250rpm | 78ps(57.0kW)/ 10,000rpm | |||
| 最大トルク | 3.5kgf·m(34.3N·m)/ 7,000rpm | 5.4kgf·m(53.0N·m)/ 7,500rpm | 8.5kgf·m(83.4N·m)/ 7,000rpm | 6.1kgf·m(59.7N·m)/ 8,500rpm | |||
| 潤滑油容量 | ? | 3.4ℓ | |||||
| 燃料タンク容量 | 17ℓ | ? | 24ℓ | 17.3ℓ | |||
| 変速機形式 | 常時噛合式 5段リターン | 常時噛合式 6段リターン | |||||
| 変速比 1速 | ? | 2.846 | |||||
| 変速比 2速 | ? | 1.947 | |||||
| 変速比 3速 | ? | 1.556 | |||||
| 変速比 4速 | ? | 1.333 | |||||
| 変速比 5速 | ? | 1.190 | |||||
| 変速比 6速 | ? | 1.083 | |||||
| 減速比(1次 / 2次) | ? | 1.955 / 2.875 | |||||
| 駆動方式 | チェーン | シャフト | チェーン | ||||
| キャスター角 | ? | 26°00′ | |||||
| トレール量 | ? | 103.5mm | |||||
| Rショック | 1本 | ||||||
| ホイールトラベル | ? | 前 130mm・後 130mm | |||||
| タイヤ(前) | 110 / 80-17 | 110 / 80-17(57H) | 120 / 70-17(58V) | 120 / 70ZR17(58W) | |||
| タイヤ(後) | 130 / 70-18 | 150 / 70-17(69V) | 170 / 70-18(63H) | 160 / 60ZR17(69W) | |||
| ブレーキ形式(前) | 油圧式 S ディスク | 油圧式 W ディスク | 〃(⌀298mm)(A モデルは 3段階油圧調整ABS 付) | ||||
| ブレーキ形式(後) | 油圧式 S ディスク | 〃(⌀245mm)(A モデルは 3段階油圧調整ABS 付) | |||||
| フレーム形式 | スチールダブルクレードル | スチールダイヤモンド | |||||
| 相場価格 | ? | 660,000円程度 | 850,000円程度 | 787,500円(ABS 付 840,000円) | 724,500円 | 829,500円(ABS 付 882,000円) | |
| 発売日 | 1991年 | ? | ? | 2009年2月 | 2010年 | ||