月見酒(MINT's World)

どんなバイクなのか?

「ER-6」シリーズは、カワサキが 2006年に売り出した並列2気筒 650cc エンジン搭載のバイク。 「Versys」(ヴェルシス・ベルシス)は、これをベースにしてヤマハの「TDM」シリーズBMW の「F 650 GS・F 650 CS Scaver」に近いデュアルパーパス系のディメンションを持たせた全く別のタイプ。 デザインは別々ですが基本設計は共通しており、何れも、

  • マフラーの超ダウン配置
  • リアショックユニットの変則配置
  • 標準でのペータルディスク装備

となっているのが主な特徴です。

ER-6n について

「ER-6n」は、ちょっと前衛的なデザインのヘッドライトを備えた、スポーツ寄りのセッティングを施されているネイキッド車。 メーター部もアナログタコメーターにデジタルスピードメーターと、「Z750・Z1000」と被るんじゃないかと思う程エクストリーム系の香りもあるデザインです。 このクラスの他のネイキッド車は、欧州の入門車として設計されている物がほとんどですが、こちらは 2気筒でありながらもかなり尖った内容となっており、2007年現在オンロードの 500cc 並列 2気筒モデルを出していないカワサキは、少し挑戦的なラインナップ展開を行っていると言えます。

その尖りはサスペンションの設定に表れていて、かなり締め上げられていると共にハンドリングもクイックで、少々しない感じがあります。 どうにもやり過ぎ感が漂っている為、全体的なおもしろ味ではスズキ「GSR600」に軍配。 ややモサっとしたエンジンフィーリングでもあり、モアパワーが欲しければ「Z750」かなとは思います。

ER-6f について

一方で「ER-6f」はスタンダード寄りの構成。 フルカウル装着で、メーターはアナログ 2連。前衛的な感じが薄れています。 少し尻下がり(に見える)なデザインも、今時ちょっと珍しい。 また、おそらくサスペンションセッティング自体は同じだと思われますが、フロントフォークのマウントの違いによる差で僅かにキャスターが寝ており、フロントカウル装着分前側が重いのもあってか、若干マイルドなハンドリングをしています。

フルカウルであっても車体は極端な程細く、足つきも極めて上々、珍しくバーハンドルを装備していて(ミラーはカウルにマウント)切れ角も深い為、誰でもすぐに乗りこなせるでしょう。
ER-6f のハンドル周りの写真
ZZR-400は重い」と思っている人には、上にポテンシャルがある 400cc の様な物として非常に理想的な 1台かもしれません。 「CBR600RRはイカつい」と言う人にもお薦め出来ます。

ただ、どうも荷掛け装備に乏しいので、ボックスを取り付けてスマートに乗るのが似合うでしょう。 シート下は車載工具と U 字ロックと ETC かココセコム程度しか入りませんので、全てシート上に載せる必要があります。 なお、フレームの形状からして、センタースタンドは取り付けられません。

KLE650A7F Versys について

2007年初頭発売。 ベースは「ER-6n / f」と共通でありながらもその変更点は極めて多岐に渡ります。

  • デュアルパーパス車である "KLE" の品番が与えられているが、オフロード向けの装備は無い。
  • フロントフォークが倒立。プリロード・伸び側減衰力アジャスター付き。
  • リアショックユニットにも同様のアジャスター付き。バネレート等も違う。
  • 圧縮率変更。と云う事はクランクが違うっぽい。
  • 排気系変更。取り回しが違うし、バイパスパイプが付いている。
  • 順当に考えれば吸気系のセッティングもおそらく違う。
  • 腰から上が全く別物。ハンドル周りからタンクレイアウトまで全然違う。
  • シートのアンコが柔らかい。
  • デザインは「ER-6n」的な前衛さを持ち、欧州向けに的を絞っている様子。

「共通している所が在る」と言っても「ER-6n / f」の差とは比べ物にならない程の変わり様。 これだけ変更しておきながら、価格上昇は 3万円と云うのも驚きです。 「ER-6n / f」のオーナーがかわいそうな程。

エンジンとサスペンションの差は、乗ればすぐに分かります。 出始めから十分な低速トルクがあり(その分、上まで回してもパワーは出ない)、足がフワフワとよく動いて路面の凸凹のほとんどを吸収してくれ、同じカテゴリの中では最も優れた乗り心地です。 しかし、ポジションが腰高かつハンドルとダミータンクが大ぶりなので、ある程度の背丈がないと乗り難さを感じるかもしれません。 若干車高を落としてからサスペンションを締め、ハンドルをもう少し陜い物に変更すると、すんなりと日本受けしそうではあります。

一方、走る楽しみに全力を注いでいる様で、使い勝手を好くする装備はほとんど有りません。 大型のフロントカウルに小物入れの類は無く、シート下の収納やフック類は寂しい物。 しかもテール周りが殺風景なので、トップボックスの取り付けはデザインとのマッチングが難しく、ポンと載せただけでは、同じく尻の高いDUCATI「MultiStrada」同様の浮き方をすること請け合いです。 車幅の増加に目を瞑れるのであれば、サイドにパニアケースを付けるしかないでしょう。

また、ダミータンクが特殊な形状でしかも半分が樹脂製なので、タンクバッグもあまり合いません。 こうなると、BMWF 650 CS SCARVER」の様に、独自形状のタンクバッグをメーカーオプションで出してくれないと厳しそうです。

それにしても、この全てに於いて中庸そうな姿と車名のVersys(ヴェルシス・ベルシス)という響き、それがVERsatile SYStem(多芸なシステム?)から来ている造語であると云う要素、何だろう、何かを思い出すぞ。 何かを

兄弟車の主な諸元比較(英国 2007年式)

VersysER-6nER-6f
全長2,125mm2,100mm2,105mm
全幅840mm760mm760mm
全高1,315mm1,095mm1,210mm
軸距1,415mm1,405mm1,410mm
シート高840mm785mm790mm
乾燥重量181kg174kg178kg
乗員定員2人
エンジン種類水冷4サイクルDOHC4バルブ並列2気筒
総排気量649cc
内径×行程83mm × 60mm
圧縮比10.611.3
最大出力64ps(47kW)/ 8,000rpm 72.1ps(53kW)/ 8,500rpm
最大トルク6.2kgf·m(61N·m)/ 6,800rpm 6.7kgf·m(66N·m)/ 7,000rpm
燃料供給方式電子制御燃料噴射
始動方式セルフ式
点火装置方式フルトランジスタ式バッテリー点火
燃料タンク容量19.0ℓ15.5ℓ
クラッチ形式湿式多板コイルスプリング
変速機形式常時噛合式 6速リターン
懸架方式(前)テレスコピック式(倒立・インナーチューブ41mmテレスコピック式(正立・インナーチューブ41mm
キャスター角25°24°3025°
トレール量108mm102mm106mm
ハンドル切れ角左右 35°
F フォーク調整機構プリロード・伸び側減衰力無し
懸架方式(後)スイングアーム式・ショックアブソーバ 1本(変則配置)
Rショック調整機構プリロード・伸び側減衰力プリロード
ホイールトラベル前 150mm・後 144mm前 120mm・後 130mm
タイヤ(前)120 / 70ZR17(58W)
タイヤ(後)160 / 60ZR17(69W)
ブレーキ形式(前)油圧式 W ペータルディスク(300mm
ブレーキ形式(後)油圧式 S ペータルディスク(220mm
フレーム形式ダイヤモンドトラスト
発売日2007年初頭2006年2006年
平均標準価格830,000円800,000円820,000円
2007年4月17日
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