使って 1年が過ぎた 2009年9月に一度話をまとめたのだが、さらに半年が過ぎ去る中でまたいろいろな事が分かってきたので、全面的に書き直してみた。 やはり黎明期の物なので、これからも新しい話がどんどん増えてくるのだろうと思う。
2008年の秋から使い始めた SSD の現状での評価が固まってきた。 言うまでも無く早い。そして静かである。 元々、アクセスタイム低減のためにシークタイムの短い SCSI 用高速回転 HDD を長年に渡って利用し続けてていた自分があまりの違いに驚いたのだから、間違い無い。
また、一般的な HDD の倍の速度で回転するモーターの音を抑えようと数々の投資と工夫を行ってきたが、そんな物を一切必要としない。 それどころか全くの無音で動作する訳で、これは特に自作六号機の静粛性に大いに役立っている。
速度周りでおもしろいのは、NCQ に意味が有る事だ。 CrystalDiskMark 3.0 が NCQ に対応したりする事で効果が数値として見える様にもなったため、自分の中でも認知度がかなり上がってきた。 うちでの計測では以下の様な値になっている。
| Crystal Disk Mark 3.0 テスト結果 | ||
|---|---|---|
| 単位:MB/s | ||
| 条件 | Vertex(1.50) | X-25E |
| Sequential Read | 219.092 | 266.339 |
| Sequential Write | 136.143 | 197.901 |
| Random Read 512KB | 157.260 | 214.743 |
| Random Write 512KB | 107.832 | 165.391 |
| Random Read 4KB(QD=1) | 24.790 | 18.559 |
| Random Write 4KB(QD=1) | 9.971 | 55.241 |
| Random Read 4KB(QD=32) | 60.277 | 141.691 |
| Random Write 4KB(QD=32) | 9.799 | 107.776 |
これは無視できないどころか、効果の少ない「Vertex」でも十分意味が有る値だと言える。 HDD のシークタイムを軽減するのではなく、SSD の遅延書き込みプロセスの最適化にも効果が有ったというのは、原理を云われると納得する所ではあるが、やはり意外性が有った。
駆動部が無いが故にハンドリング上多少ぞんざいに扱っても構わない所も、SSD の大きなポイントである。
モバイル用途に必要な耐衝撃性能だけでなく、いちいちケース内に螺子止め固定しなくても、それどころか宙ぶらりんでも普通に動く特徴は、内部レイアウトの自由度の高さを約束してくれるし、まな板状態のテスト用としてもおいしい。 自分の場合はバイクに乗せて運搬することさえあるが、当然問題が起こる事は無い。
一方、データ保持の信頼性については結論から言えば正直言って危うい所が有る。 それはコストダウンの著しいコンシューマ向け HDD とはまた違う独特の物で、物理的ではなくソフトウェアや電気的に危ういのだ。 よく謂われるが、やはりアクセスを殺到させた時に不具合を起こしやすい。
一度ファームウェアの特定バージョンで不具合が出てボヤを起こした Intel製「X25-E」だが、その評判に違わず速度と信頼性の両面でトップで有り続けている事は間違いない。 なので、これをベストと思って実力を測っているが、その「X25-E」に於いても、あまりにもアクセスを集中させ過ぎるとやはりパニックを起こしてしまう。 実際に
の流れを辿ってしまう事が有った。
OCZ 製の「Vertex」ではさらに状況が悪く、Windows Update などの更新作業中で不用意に突付く程度でも、フリーズして戻ってこなくなる。 この時に遅延書き込み待ちだったりウェアレベリング処理中だったファイルが運悪くクリティカルな部分であれば、Windows Vista 以降強力な復旧力を持つ「前回の設定で起動」や「システムの修復」でも完全にはカバーできない事も有り、その時は再インストールが必要になってしまうのだ。
この辺りの要因は、
に有りそうである。
アクセスを集中させることが引き金になるので、なるべくその様なシチュエーションを作らない様にする事が対策となる。 例えば
と言った辺り。
一つ目は、Wibndows Vista の復元ポイント作成を設定していると、ドライバーインストールや更新などで発生する復元ファイル作成オーダーでほぼ確実にパニックを起こし、 変更場所がクリティカルなだけにあっさりと OS 起動不可ファイル復旧も不可の致命的な状況にまで陥るので、復元ポイントの自動作成を必ず無効にする様にしている。 Windows Vista 以降はドライブ丸ごとのイメージファイルを手動でも作成できるので、それで十分代用になるし、これを作らずとも「前回の設定で起動」は使えるので、全くセーフティネットが無くなる訳ではない。
二つ目は、古株の PC 使いには、何となく昔のフロッピーディスクやファイル保障が無かった頃の HDD の扱い方を思わせる部分。 書き込み時に HDD とは違うパターンで点滅したり、変に点灯したままになったりするので、その癖を酌んでこちらが人力で SSD へのアクセスを伴う様な操作を一時控えたりする必要が有る。 プチフリーズが起こったりした時に、不用意にもがいたりしてはいけないのだ。
三つ目のスワップファイルについては、まだ何とも言えない部分も有るが、自分の経験上はその様に考えている。 SSD はランダムアクセスが早いので、スワップファイルを置く場合にランダム書き込みパフォーマンスが確保されている機種であればパフォーマンスを考えれば有利である。 しかし、メモリに余裕が無くてスワップファイルの利用頻度が上がればプチフリーズの危険性が上がる。 スワップファイル専用に SLC 機種を使うなどというやや本末転倒気味な使い方、またラップトップや UMPC でメモリ増設が困難な場合を除いては、メモリの増設を優先すべきである。 自分の様なパラノイアの場合は、使い切れないメモリの余剰を RAMDRIVE にして、そこにスワップを設定する。 この様にすれば、絶対にストレージ側にメモリ関係アクセスが飛んでくる事は無い。 一方、メモリ増設ができない仕様の ラップトップや UMPC の場合は、この様な機種に搭載できる HDD が SSD に比べて圧倒的に遅い場合が多いので、スワップファイルを置いた方が望ましい。 これは、製品寿命があまり長くなかったり、本体の使用頻度がそれほど高くない事も加味しての話となる。 但し、動かなくなる予感がしたらちょっと操作を抑えると言う、あまりにもアナログな対策が求められる。 メモリがカツカツの環境ではどの道必要な、職人芸の裏技の様な物ではあるが…。
ハイバーネーション無効化は、起動・終了時というデリケートな段階での致命的トラブルを避けため。 かなりの勢いでアクセスが発生するので、ここはスタンバイで我慢する。
なお、インデックスサービスは切らない方が全体としては好いと考えている。 サードパーティー製の PC 内検索を導入しているなら話は別だが、特に Windows Vista 以降はこれを利用した検索に頼る所が非常に大きいため、切る事のデメリットが無視できないからだ。 ユーザーの操作中はインデックス作業を中断するはずなので、アクセス殺到は起こりにくいはずだし、実際インデックスサービスが元だと思われる不具合はうちでは発生していない。 他にもっと、同時アクセスに気を遣わないので問題を引き起こす可能性が高いアプリケーションやサービスが有る。
前章でデフラグについて述べなったのは、まだ何とも結論が出ていないからである。 HDD は「NTFS なら、こまめにデフラグしておいた方がトータルで得」という方向でほぼ決着が付いたと思うが、SSD の場合は「どうも空き領域の断片化とマーキングが問題になってるから、TRIM コマンドとかでどうにかしようぜ」という方向が打ち出されて検証が始まったばかりな所である。
うちに有る物では、 OCZ「Vertex」が独自ソフトウェアで TRIM 機能を実現している。 ソフトウェアの信頼性は推し量り様が無いが、OS に依存しない所がユーザーには好評。 しかしうちでは、あまり使い込んでいないからかもしれないが、効果を定量的に計れないままでいる。
探し易い所に公開されている文書では、参考になる物もまだまだ少ない。
確かにデフラグや TRIM を行うと、アクセス速度のベンチマークテスト結果に変化が現れる。 変化は上下どちらの方向にも現れるので、局所的現象も無視できないのだろう。 これをやるかやらないかはプチフリーズ現象の発生にかなり影響が有るし、それはすなわち書き込み信頼性の確保にも関係してくるので、これからも動向を追って行きたい。
2009年に「100倍早い」とか謂っていた SanDisk 製の SSD(G3 シリーズ)は、一往欧州で一般向けへの販売が始まったものの日本向けはまだ見られない。 欧州でも話題性に乏しい所を見ると、価格に見合った数値的に分かりやすい性能は出ていないのではないかと思われる。 寿命については計測し難いので、今の所 Intel 製の牙城を崩す様な判断材料は見えない。
一方、東芝は正規流通品は I-O DATA 経由となった。
派手さは無いが、堅実であろう雰囲気を感じる。 価格帯も、「まあそんなものだろう」的。 しかし貧者の Intel 製と呼べる程の性能は出ておらず、こちらも弱い。
やはり最大の注目株は SandForce 製コントローラ「SF-1500」を搭載した機種だろう。 各所のレビュー記事で強烈なベンチマーク数値が出ており、早い段階の SSD 参入で失敗と改良を重ね、ある意味メモリ・チップベンダ以外では最もこなれている言っても過言ではない OCZ が送る「Vertex Limited Edition」は、今最も Intel 製に近い性能を出している。 但し、その性能を裏付けてか Intel「X25-M Mainstream(第二世代)」と 1GB 当たりの価格差がほとんど無いので、選択は好みに委ねられると言える。